日本の商売の基礎を作った「近江商人」とは?三方よしの商売で成功した彼らの歴史と格言を紹介!!

近江商人とは

皆さん、日本の商業の基礎を築いたのは誰か知っていますでしょうか?

それは近江(現在の滋賀県)を中心に活動をしていた「近江商人」です。

ビジネスマン、経営者として生きていく上で「近江商人」のことを全く知らないのは致命的だと言っても良いでしょう。

「近江商人」は国内のみならず、海外のあらゆる経済学者たちからも賞賛されるほど、商売の才覚とシステムに長けた人達でした。

名著「マネジメント」の著者ピーター・ドラッガーも最古のマーケティングとして紹介するほど「近江商人」は有名かつ歴史のある商売人達なのです。

この記事では「近江商人」の概要や歴史などに関して簡単に解説し、かつ「近江商人」が大切にしていた商法や商売精神などを紹介致します。

この記事を読んで頂くことで、歴史の偉人たちから商売を発展させる知恵を学び、今後の事業成功へのヒントを得ることができるかと思います。

では早速参りましょう!!


「近江商人」とは

近江商人とは、江戸から明治にかけて活躍した滋賀(近江)を本拠地として商売をしていた商人達のことです。

江戸から明治ともなると300年近い年月になりますが、抜群の商売センスと巧みな商法によって、長年日本の商業の根本を支えてきました。

近江商人が抱いていた商売理念や商法は今現在にも通じる素晴らしいもので、日本の商業の原点ともされています。


「近江商人」の歴史と発展の経緯

近江商人は江戸から活躍の幅を広げましたが、その原型は安土桃山の時代へと遡ります。

現在の滋賀県である近江の国は、京都や大阪と近く交通の要所として古くから発展していました。

長旅に疲れた人たちを癒す宿場町として人が集まるので自然と商業も大きくなっていきました。

そんな中江戸時代から日本全国が藩として別れることにより財政や資産が藩ごとで管理され、それらが閉鎖的になりました。

そこで近江商人たちは各藩に足りないもの、必要なものを、欲しているものを売りに全国への行商へと出ました。

そして各地の市場調査をしながらも、行商の行き帰りで商売をし、時には地方の藩にて店舗を構えるなどをして大きく発展していったのです。

「近江泥棒」

「近江商人の通った後には草も生えない」

などと悪口のような言葉を同業者が言いたくなるほど、

商売のセンスに長け、各地のあらゆる人々を喜ばせていました。

令和の時代となった今現在にも、近江商人の流れを汲む企業が数多くあります。

・伊藤忠商事・丸紅(近江出身の伊藤忠兵衛が創業)

・高島屋(近江商人の飯田儀兵衛の婿養子が創業)

・白木屋(近江出身の大村彦太郎が創業)

・ヤンマー(近江出身の山岡孫吉が創業)

・住友財閥(初代、2代目の理事が近江商人)

・トヨタ自動車(近江出身の豊田利三郎が創業)

・ニチレイ(近江出身の西川貞二郎が創業)

など挙げればキリがありません。

安土桃山から続く商売人の歴史。

近江商人を知らずして現代のマーケティングを語ることはできません。


近江商人の根本精神「三方よし」

近江商人のことを知る上でこの概念を無視することはできないでしょう。

三方とは「売り手、買い手、世間」のことですが

「売り手よし、買い手よし、世間よし。の三方全てにとって良い影響のある商売をすべし」

という考え方です。

この精神は公益資本主義とも言われ、

近江商人の流れを汲んだ伊藤忠商事は、2020年4月からグループの基本理念を28年振りに「三方よし」に改定しました。

「三方よし」の精神を持つことは今後の社会で企業や事業を発展させる上で絶対的に必要でしょう。

「三方よし」を詳しく解説

分解して詳しく解説していきましょう。

売り手よし

企業の目的は基本的には「利益の追求」です。

1円も稼げなくていいけど会社を経営しています!

という方はいないですよね。

いかに高い利益を上げるか、その利益をいかに企業の発展や商品の開発の為に使うかが根本の行動原理だと思います。

そこで扱う商品やサービスの質、それに見合った適切な価格設定などがとても重要となってきます。

たとえ人気の商品でも価格が低く、利益が上げられないと意味がありませんよね。

逆に商品のクオリティが低いにも関わらず、高い値段設定にしていると売上が発生しません。

需要と供給を鑑みて、利益追求のための適切な判断をするセンスが商売人には求められます。

買い手よし

買い手よしは、商品やサービスを購入してくれたお客様が満足して頂けることを意味します。

売り手よし・利益追求のためだけに出鱈目な商品を販売したり、表向きは興味をそそるが実際のクオリティが低い商品などは、たとえ購入されたとしても、お客様が満足できませんよね。

自分のことだけを考えるのではなく、相手の利益や満足度も高くなるような

「WIN-WIN」の関係が理想的です。

商品のクオリティを高めること、サービスの質を向上する事ももちろん大切ですが、重要視するべきは「市場調査とターゲティング」です。

自社の商品はどのような層に対して、どんな欲求を満たすことになるのかを徹底的に分析して商品展開をしていくことが肝要です。

そうすることで、買い手側が欲しい商品を提供でき、満足感を満たすことができ、売上も上げることができます。

近江商人は日本の各地をその足で回り、現地で民衆の求めるものを調査し、強い実感をもってして市場調査とターゲティングを行っておりました。

地道な努力で買い手が喜ぶ商品を提供できるようにしましょう。

世間よし

売手よし、買手よしの二方よしの状態は数多くの企業が実現しているかと思います。

資本主義の古い概念においてはこれで十分でした。

しかし近江商人は300年以上も前から、二方に加えて3つめの「世間よし」を大切にしてきました。

この精神が近江商人の発展の大きな要因になったことは言うまでもありません。

「世間よし」とは

「売手、買手以外にもいい影響を与え、社会が良くなるような商売」

と捉えてよいでしょう。

例えば、商品の製造工場を作って大量生産をして、売上も伸びお客様も満足してくれているが、工場のある土地は環境が破壊されてしまっては社会にとって良い影響ではないですよね。

また、商品やサービスの展開を行って消費者は喜んでくれるが、下請けの労働環境が悪かったり従業員に満足な給料を与えなかったりすると、企業を取り巻く環境は悪化するばかりですよね。

利益の追求ばかりに目がいってしまい、社会貢献ができていない企業は必ず衰退します。

長期的な安定した企業運営をしていく為には「三方よし」はとても大切な精神なのです。

近江商人は貯まった利益で日本の各地に橋や学校などを無償で建てたりし、世間のため、世の中のために貢献していました。

現代の経営精神のみならず、普段の人間関係にも応用できる素晴らしい精神ですね。


近江商人の残した格言・精神

近江商人は「三方よし」以外にも、現代にも通じる様々な格言、商業精神を残しています。

先人の知恵や思想を参考にして、それぞれの企業や事業に活かしていきましょう!!

『始末して気張る』(しまつしてきばる)

近江商人の代表的な言葉、精神です。

「始末」は節約・倹約を意味し、「気張る」は努力する、本気で取り組むという意味です。

徹底的に倹約に努めて無駄を省いて支出を抑え、本気で努力をして働き収入を上げる。

この精神性で近江商人は商売と向き合ってきました。

近江商人の特徴である、薄利多売の考え方もこの言葉から裏付けられているとされています。

また、伊藤忠商事の創業者である伊藤忠兵衛はこの言葉を座右の銘にしていたと言われています。

どんな社会においても大切にしたい言葉ですね。

『陰徳善事』(いんとくぜんじ)

こちらも近江商人の社会貢献意識が生んだ素晴らしい格言です。

「人知れず善い行いをし続けること。自己顕示や見返りを求めるのではなく人や社会に尽くすこと。それは、やがて世間に認められ、自分に良い影響がある」

という考え方です。

先程説明した通り、近江商人は商売によって得た利益を使い、道路や橋、寺社や学校の補修・建設などを人知れず行っておりました。

そういった行いは、徐々に世間の人たちに知れ渡り、日本の各地で信頼を得るようになりました。

幕末期に一揆や打ちこわしなどが多くなった際にも、近江商人の店がほとんど襲撃を受けなかったという報告もあがっています。

商売のみならず、実生活にも応用できる素晴らしい格言ですね。

『利真於勤』(りはつとむるにおいてしんなり)

こちらも近江商人を語る上でしばしば引き合いに出される言葉です。

「利益とは努力した結果に対するおこぼれであり、利益だけを考えるのではなく、商人として自分の商活動にひたすら励むことこそが肝要である。」

という意味です。

この言葉は「三方よし」の考え方と通ずるところがあります。

自分の利益だけでなく、社会との繋がりを意識して貢献する意識を持つこと。

権力と繋がったり、不当な商売をしたりしてはならないこと。

それらをしっかりと意識して、商売人としての誇りと真面目さを持って近江商人は発展していったのです。

【商売十訓】

最後に、近江商人が信念として持っていたとされる商売十訓を紹介しましょう。

この商売十訓はパナソニックの創業者、松下幸之助さんが残したものだという説もありますが、松下さんも近江商人の精神性に強く影響されていたので、その説の正否はここでは割愛します。

いずれにせよ商売人にとって大切な言葉と精神性なので、しっかり心に刻んで今後の経営に活かしていきましょう。

1、『商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり』

三方よしの考え方です。

利益は後からついてくるという謙虚な姿勢が大切です。

2、『店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の良否』

マーケティングの基本の考え方です。

今ほどグローバルでない300年以上も前からマーケティングの真髄を捉えているなんて凄いですね。

3、売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる

商売は売って終わり、利益が出たら終わりではありません。

アフターフォローをしっかりして、既存の顧客と良好な関係を築くことはとても大切です。

4、資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし

本当に大切なのは資金の多さではく、自分を信用してくれる人の多さです。

自分と他者との関係の間には信用貯金というものがあると言われています。

信用貯金は失うと取り戻すのに大変な時間と労力がかかります。

周りの人やお客様に信用してもらえるような生き方をしましょう。

5、無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ

目に見えて売れそうなものではなく、本質的に顧客を助ける商品やサービスを作りましょう。

ホスピタリティにも通じる考え方です。

6、良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり

広告の大切さを的確に表している格言です。

良い商品、クオリティの高いサービスをするのは当然のこと。

それを知ってもらう為の努力も怠ってはいけません。

「売る」だけでなく「売れる」行動をとることが商売では必要です。

7、紙一枚でも景品はお客を喜ばせばる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ

笑顔は一例であって、少しでもお客様を喜ばせるにはどうすればいいのかを考えるべきだ、という格言です。

少しでも顧客に満足してもらう。

皆さんはその方法を極限まで考えられていますでしょうか?

8、正札を守れ、値引きはかえって気持ちを悪くするくらいが落ちだ

「正札」とは掛け値なしの正しい値段のこと。

値引きをすると「売れ残りなんだ」「質が悪い商品なんだ」と思われてしまいがちです。

少しでも在庫を減らそうと商品の価値を下げてしまうのは悪影響があることも忘れてはなりません。

9、今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは寝につかぬ習慣にせよ

明日やろうは馬鹿野郎、という言葉があるように、今日のことは今日解決しましょう。

毎日毎日を振り返り、明日に活かすことで恒久的に成長できるというものです。

商売だけでなく人生訓としても心に留めておきたい言葉ですね。

10、商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ

世間の波に流されることなく、むしろその波を乗りこなしていくことが大切です。

従業員のために、家族のために常に利益を上げなければなりません。

それが経営者の義務であり、覚悟だと思います。


以上が「近江商人」の概要と今にも残る格言や商売精神でした。

いかがでしたでしょうか?

きっとこの記事を読んだ前と読んだ後とでは、大きく意識が変わっているかと思います。

先人の残した素晴らしい礎の上で、混沌とした現代社会を生き残る商売をしていきましょう!!

それではまた!

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