前回の記事に続き「初心者が財務諸表を読みこなせるようになるまで〜その2〜
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会計の仕組み
そもそもなぜ財務諸表は必要なのだろうか。
企業を取り巻く登場人物の説明と共に財務諸表の必要性を説明してみます。(説明は下図1を参照)
登場人物
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企業 :ビジネスをする上での主体。
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利害関係者 :主に次の3プレーヤーで構成されている。
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株主
企業がビジネスをするために企業に資金を拠出する主体。企業は株主から資金を拠出してもらう代わりにビジネスで稼いだ利益を株主に配当金として還元する。次に記載する債権と異なり株式は株主に返済する義務がないというのが特徴です。
株主の関心は、配当金もしくは、企業の株式が株式市場で取引されている場合に得られる値上り益(キャピタルゲイン)。 -
債権者
企業がビジネスをするために企業に資金を貸す主体。株式と異なり返済義務や返済する期間が決められている資金。債権者の関心は、利率に応じて得られる固定の利息と、そもそも企業が倒産しないかどうかの安全性。
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取引先
企業のビジネスにおいて取引する主体。重要ですが、ここではあまり深入りしません。
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【図1】
登場人物達の関係性
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企業(経営者)と株主
企業は法人登記をして株主から資金を拠出してもらうところから始まります。最初は、「株主=企業の経営者」という場合が多いですが、企業が成長しビジネスを拡大していく上で、企業外部の株主から資金を調達する必要が出てきます。
しかし、株主の視点からみたらどうでしょう。自分の拠出した資金を経営者が適切に使用しているか気になりませんか?
先ほど記載したように株主の関心は「配当金」「値上り益」のどちらかです。これは企業のビジネスの成果により変わってきます。
ビジネスの成果が気になりませんか? -
株主と債権者
株主は拠出した資金が確保されていない代わりに、ビジネスの成果としての配当金と値上り益が多い方が良いので、企業にはリスクを取ってでも投資をして多くの利益を上げることを期待します。
一方で債権者は企業には多額の投資をしてもらわずに固定の利息と借入を地道に返済してもらえばいいわけです。企業が下手にリスクの高い投資をして倒産してもらったら困ります。ここに株主と債権者の利害が対立します。
これらの利害対立は、エージェンシー問題と呼ばれ、研究の対象となっています。
会計の登場
会計制度のない社会では上に説明したような問題が起こります。すると、誰も企業に資金を拠出する株主にはなりたくないですし、企業に資金を貸す債権者にもなりたくないです。結果、ビジネスが盛んに行われず国としても経済が停滞してしまいます。そこで会計の登場です。
【財務諸表の役割】
そこで企業は会計という制度に従ってビジネスの成果を報告するように義務付けられています。報告のために企業活動を記述するルールが簿記であり、報告するレポートが財務諸表という位置付けです。
【財務諸表の効果】
この財務諸表というレポートを企業が出すことで上の問題が解決されます。
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企業(経営者)と株主
一定のルール(簿記)に従ってレポート(財務諸表)するため、企業が適切に資金を使用しているか確認できる。また、企業の成果として数値で確認することができる。 -
株主と債権者
企業の株主への適正な配当額の計算ができるため、債権者は過度な株主への還元がないか、企業のビジネスの安全性に問題がないか数値として確認することができるため対立が緩和される。
次回予告
制度の概要が続き退屈していたと思いますが、ついにPL、BS、CFと財務諸表の中身をみていきます。フローとストックの概念について、見た上でPL、 BS、CFがそれぞれ何を表すか見ていきたいと思います。