はじめに
新興国インデックス投資は人気のS&P500(米国)や成熟した市場である、先進国インデックスへの投資とは対照的に、未成熟な新興国インデックスへの投資を意味します。
インデックス投資は、各種ベンチマーク(指標)に連動する投資であり、ベンチマークが採用する銘柄の配分に沿った分散投資ができることから、リスク分散ができる点でおすすめの投資手法になります。
インデックス投資は投資ファンドの平均運用成績よりも実はパフォーマンスが優れていることがあるなど、投資のプロからもオススメされている投資手法です。
インデックスに投資する商品には、ETFや投資信託がありますが今回は新興国インデックスに連動する投資信託商品の紹介をしたいと思います。
投資商品の区分が曖昧な方は下図を参考にしてくださいね。
投資商品 | 個別銘柄 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|---|
金額 | 数千円〜数十万円 | ~数万円 | 100円〜 |
分散 | ✖️ | ◯ | ◯ |
リアルタイム取引 | ◯:できる | ◯:できる | ✖️:できない |
信用取引 | ◯:できる | ◯:できる | ✖️:できない |
取引手数料 | あり | あり | ない場合がある |
信託報酬 | なし | あり | あり |
リスク・リターン | 大きい | 小さい | 小さい |
投資金再投資 | ✖️:できない | ✖️:できないケースあり | ◯:できることが多い |
積立投資 | ✖️:できない | ✖️:できない | ◯:できる |
投資スパン | 短期・中期向け | 短期・中期向け | 長期向け |
上図は【5分で解説】ETGって何ですか?からの引用です。
【5分で解説】ETFって何ですか?新興国インデックスはおすすめできるのか
結論ですが、私は新興国への投資は長期的な投資対象してはありだと考えています。
では、なぜ長期的な投資対象としてはありなのか解説します。
新興国が長期的な投資対象としておすすめな5つの理由
- 人口が多い
- 資源が豊富な国が多い
- 経済規模が拡大中(GDPで新興国が日本やドイツを追い抜いてトップに入ってくる未来が待っている)
- 先進国と比較して伸び代が大きい
- 利回りが大きいケースがあり
①人口が多い
人口が多いと、必然的に経済規模が大きなることが期待できます。
新興国の国内はまだまだ成長ポテンシャルに溢れています。
道路・通信・生活・教育等のインフラが整うにつれて、個人所得の増大や生活水準向上が期待できることから、さらに経済規模が拡大することが予測できます。
②資源が豊富
新興国には豊富な資源を有する国が多く存在します。
サウジアラビアやクウェートの石油、イラン、ロシア、カタールの天然ガス、ブラジルや中国の鉄鉱石など、先進国にはない資源が豊富にあることから潤沢な資源を武器にして輸出でお金を稼ぎながら経済成長への投資に資金を回せる強みがあるのも特徴です。
③経済規模が拡大中
新興国は国内のインフラや教育・サービスがまだまだ整っていないことから、現在の先進国に追いつき追い越せと投資が活発に行われ、成長を続けています。コロナで経済拡大の減速がありましたが、今後は成長の勢いを取り戻しさらに経済が拡大していくことが予測されます。
実際に、2030年までにはインド、ブラジル、ロシア、インドネシアなどの新興国がGDPランキングトップ10に入ってくることもも予想されています。
④先進国と比較して伸び代が大きい
新興国は総じて、国内のインフラや教育制度が整っていないことと人口規模が大きいことから、先進国と比較して大きなポテンシャルを持っており経済が成長することが期待できます。
⑤利回りが大きい傾向あり
新興国はリスクが高いため、金利も高くなります。
そのため投資(お金の貸す)すると大きなリターン(金利)を得ることがあります。
経済発展のために外資を受け入れる必要があり、高リスク国であることから、海外の投資家に高い金利を求めらる背景があるためです。
ここまでメリットあげました。次にデメリットについて言及します。
新興国に投資する3つのデメリット
新興国に投資することにはメリットだけでなくデメリットも存在します。
この記事は新興国に投資する上で気をつけたいデメリットを3点取り上げます。
- 政治的・地政学的・宗教的なリスク
- 暴落のリスク
- 一次産業頼みのリスク
政治的、地政学的なリスク
中国の習近平やロシアのプーチンなど、ある種独裁に近いような政治体制をしく新興国が存在するなど政治的なリスクが高い国が多い傾向があります。
また中東の新興国はイスラム教によるテロのリスクや、ASEAN諸国も中国に起因する地政学的リスクを持っているなど先進国にはない問題を抱える国が多く存在します。
暴落リスク
新興国は前に述べたような、政治的・地政学的・宗教的なリスクに起因する暴落のリスクが伴います。
ミャンマーで起こったようなクーデターや、投資が集まらなくなるとたちまちデフォルトのリスクがチラつくこともあります。
さらに市場規模が小さいため、少しの変動で大きな値動きが起こります。これはメリットでもありますがデメリットにもなります。
1次産業頼みのリスク
新興国の多くは1次産業への依存度が高いため、その資源が利用されている商品の価格変動に影響を受けやすいデメリットとしてあげられます。
ここまで新興国へのメリット・デメリットを紹介しました。
その上で、新興国へのインデックス投資のおすすめ商品を紹介します。
新興国インデックスおすすめ銘柄3選
① SBI新興国株式インデックス・ファンド
運用方針 | 新興国の株式市場の動きを捉えることを目指し、 FTSEエマージング・インデックス(円換算ベース)に 連動する投資成果を目標として運用 |
純資産額 | 約119億 |
基準評価額 | 12,191円 |
騰落率 | ファンド設定来22.73% |
ベンチマーク | FTSE・エマージング・インデックス(円換算ベース) |
信託報酬 | 0.176% |
購買手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
委託会社名 | SBIアセットマネジメント |
購買手数料が無料で、信託財産保留額も無料、信託報酬が0.176%と手数料がとても安いことが特徴です。
手数料が安いことから長期投資に向いているといえます。
また、順調に純資産額が増大しており、コロナ渦での暴落を経験しているものの、全期間のトータルリターンは28%を超えています。
② eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
運用方針 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)と 連動する投資成果をめざして運用を行います。 |
純資産額 | 約731億円 |
基準評価額 | 12,658円 |
騰落率 | ファンド設定来26.58% |
ベンチマーク | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
信託報酬 | 0.1870% |
購買手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
委託会社名 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
SBI新興国株式インデックス・ファンドと比較すると、純資産額が大きく、より安全であると言えるかもしれません。手数料もSBIと大きくは変わりません。
一般に、純資産総額が大きいファンドのメリットとしては、以下の3点があげられます
- 豊富な純資産を利用してより分散投資が可能になる
- 積極的な情報公開が行われる
- 運用体制が充実する
③ ニッセイ新興国株式インデックスファンド
運用方針 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果をめざします |
純資産額 | 約29億円 |
基準評価額 | 11,662円 |
騰落率 | ファンド設定来26.58% |
ベンチマーク | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
信託報酬 | 0.2079% |
購買手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
委託会社名 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
ニッセイ新興国株式インデックスファンドはeMAXIS Slim 新興国株式インデックスと同じベンチマークを採用しており、SBI、eMAXIMと比較して若干信託報酬が高いですが、順調に純資産額を伸ばしていることから安心して投資ができると言えるでしょう。
まとめ
S&P500や先進国インデックスに寄せた投資をするのも魅力的に考える方もいるかもしれませんが、資産が偏ることにはリスクが伴います。
ロボアドバイザーなどで資産運用を行なったことがある方は気づいているかもしれませんが資産は適切に分散し、時にはリバランスを行うことも必要です。
新興国には短期的・中期的なリスクを伴うことも先進国と比較すると多いですが、長期的な目線では必ず世界の成長の中心となります。
できれば新興国にも投資を行い、バランスを取りながら投資を行うと良いでしょう。